その25:「第三の波」と「IT」(その2)

「第三の波」と「IT」(その2)

 今回のテーマは、前回に引き続き「第三の波」と「IT」です。  
 前回ブログにて、1980年にアルビン・トフラーにより出版された「第三の波」で語られている「第二の波」の時代を振り返りました。「IT」が全面的に登場する前の時代の話です。日本はこの時代に絶頂期を迎えました。そして、いよいよこの後に「第三の波」がやってきます。「第三の波」は今まさにその威力を見せています。その「第三の波」に「IT」がどのような影響を及ぼしているのか、また及ぼしつつあるのか、検証していきたいと思います。
 40年前のアルビン・トフラーの予測が果たしてどれだけ当たっているのだろうか、予測が外れてしまったのはどんなことだろうか。それらを知ることにより、私たちは今後「IT」によって引き起こされる社会的な変化を予測することができると思うのです。

(2)「第二の波」と「第三の波」のぶつかりあい:
 日本が製造業を中心とした「モノづくり大国」としての地位を固め、「第二の波」の社会で絶頂期を迎えていたのは1980年代ですが、ちょうどその頃にトフラーの「第三の波」は出版されました。トフラーは「第二の波」の社会が全盛の時に、すでに次の「第三の波」の存在をとらえていたのです。そして「第三の波」は「第二の波」を支えてきた国家、政治制度、社会福祉制度や学校制度、保険医療制度、都市体系、企業体系などいろいろな構造や制度などを攻撃しはじめ、崩壊へ導いていると述べています。「第三の波」を出版した時点では、「第三の波」の正体ははっきりしていない、とトフラーは述べています。しかし、その大きな変革の波は地球上のあちこちに押し寄せはじめており、その波に触れるものすべてを変質させているとしています。そして「第二の波」と「第三の波」はぶつかりあい、さまざまな場面で対立しはじめており、「第二の波」の既得権益を手放すまいとする人々と、新たな「第三の波」の世界を生きようとする人々との間で対決が起こっていると述べているのです。
 トフラーがこの著書を出版した段階では、「第三の波」の正体ははっきりしていなかったということですが、その後、約40年が経ち、今はっきりしてきた部分もあるように思います。また、その影響も40年前にはほとんど感じられなかったものが、特にこの20年ほどの間に、日本でもひしひしと感じられるようになってきました。いろいろな制度や仕組みが制度疲労を起こしはじめています。いろいろな法制度やルールの枠組みが変わってしまったことにより、役に立たなくなってきています。あちこちで改革を迫られてきているのです。その変革の波の推進役として「IT」の何が一番貢献しているかといえば、「情報」の「ディジタル化」により「サイバー空間」(本ブログ その11「サイバー空間の内容と特徴」を参照ください)を作り、「情報」のコミュニケーション能力を飛躍的に高めたことだと考えます。トフラーは「コンピューター」は「第二の波」の特徴である6原則も加速させたと述べています。それは特に初期の「コンピューター」による生産性の向上を指しているものと思われます。大量生産をする工場も「コンピューター」を導入することにより、さらにその生産能力を上げていきました。しかし、この時の使われ方は一つの工場や企業内の合理化ツールとして使われており、「コンピューター」の演算能力を使っていただけで「ディジタル情報」をコミュニケーションに使ったわけではありませんでした。「インターネット」が普及する前の技術が「第二の波」に貢献したのです。それに対し、「第三の波」では「ネットワーク」、「ディジタル情報化」、「サイバー空間」などが「第三の波」を推し進めていると考えます。
 これから「第三の波」が「第二の波」に攻撃を加え、「第二の波」を崩壊や衰退に追い込んだ場合、「第二の波」はどうなってしまうのでしょうか。絶滅してこの地球上から排除されてしまうのでしょうか。その答えは”「波」としての勢いを失う”、です。「第一の波」の社会構造や体制も現在も存在し続けています。それと同じように「第二の波」の社会構造や体制も今後も継続して存在し続けますが、現在ほどの「波」としての勢いは失われるということです。「第二の波」の社会は、画一化された大量の工業製品を生む社会です。実世界で生きる人間は、食料や工業製品を必要としており、ホモ・サピエンスが現在のように地球を支配し続けている間は、そのニーズは無くなることはありません。それを支える仕組みとして「第二の波」の社会構造や体制は維持され続けます。しかし、それを広げていくような勢いや力は無くなるということです。また、今後「第二の波」と「第三の波」がぶつかりあう中で、押したり引いたり、「第一の波」も混ざり合ったりしていくので、その結果がどうなるかは予想しづらいともトフラーは述べています。だから、これから先、必ず「第三の波の社会」が訪れるというわけではありません。ですので、大切なのは、現在現れている現象(変化)を「第三の波」による変化か、「第二の波」による変化か、またはこの二つがぶつかりあってできた変化かを見分けることであり、これをすることにより、変化を正しくとらえることが可能になるとしています。そして見分けるためには「第二の波」と「第三の波」の社会構造や体制を両方とも理解しておく必要があると指摘しています。

 トフラーは「第二の波」と「第三の波」がぶつかった結果、新たな文明を生むとし、どのような社会になるかを現実と近未来について著書の中で述べています。その範囲は広く、企業、社会体系、権力(政治)体系、情報体系などに及んでいます。その中から「IT」と特に関係が深いいくつかの例を引用し、現在の状況に照らし合わせて、検証していきたいと思います。
 まず、企業に対する「第三の波」の影響を考えてみましょう。トフラーは技術の移り変わりにより、主要産業が変わっていくだろうと予測しています。「第二の波」の時代においては、初期段階から化石燃料をエネルギー源として大型の機械などを加工・製造する産業が主流でした。「石炭事業」、「鉄道事業」、「鉄鋼産業」、「自動車産業」、「工作機械産業」などであり、比較的小型な家電製品も古典的産業と位置付けています。それに対し、「第三の波」の新しい産業は、「量子電子工学」、「情報理論」、「分子生物学」、「海洋学」、「原子核物理学」、「社会生態学」、「宇宙科学」といった新しい学問で開発された産業であり、主流となる産業は「コンピューター」、「エレクトロニクス」、「宇宙・海洋」、「遺伝子産業」の4つだと指摘しています。この指摘を現代の状況で検証してみると、確かに「石炭事業」などは地球温暖化の問題などから一部の国を除いてすでに衰退の時期を迎えていますが、「自動車産業」は現在も人類の移動手段を支える産業として君臨していますし、「鉄道事業」なども低炭素社会を実現するための公共移動手段として見直されるなど、まだまだ健在な産業が多いのも事実です。それに対し、「第三の波」の新しい産業としては、「コンピューター」や「エレクトロニクス」はすでに社会の主流となっていますが、「宇宙・海洋」、「遺伝子産業」はまだ主流とまでは至っておらず、これから伸びることが期待されている状況にあります。これから発展する産業としては間違いないので、もう少し時間がかかるのかもしれません。しかし、電気自動車(EV)メーカーテスラ社の創業者として知られるイーロン・マスクは、スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ社(SpaceX)をすでに立ち上げ(図1)、ヴァージン・アトランティック航空を設立した著名起業家のリチャード・ブランソンは2004年に宇宙事業を立ち上げるなど、宇宙ビジネスへの参入を着々と進められています。こうしてみると、トフラーの予測はほぼ的中していると言えます。


図1:スペースXのロケット打ち上げ
日刊工業新聞オンラインより
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00521771?gnr_footer=0019282

 日本は「第二の波」で絶頂期を迎えたため、国内の企業も国もその成功体験を忘れられず、他国に比べて「第三の波」への乗り換えが遅くなったのではないかと感じています。その結果はいろいろな所で現れています。その一つが国内総生産(GDP)の成長率です。日本は1959年から10年間にわたり10%前後の成長を達成し、高度成長期を迎えました。ちょうど「第二の波」の産業が活発な設備投資と抱負な労働力のもとで拡大を続けていた時です。そして1980年代まではおよそ4%程度の成長率を維持していました。しかし、その後1990年代に入るとバブル崩壊もあり、成長率は1%台に低迷し、さらに2000年代には0.5%と諸外国と比べても低い水準に落ち込んでしまいました。1990年ごろにすでに潮目は「第三の波」へと変わっていたのです。そしてそれに気づかぬままに過ごした1980年初頭から2000年に至る20年間を「失われた20年」と呼ぶようになりました。また日本が「第三の波」への乗り換えが遅れていることは株価の時価総額の動向を見てもわかります。バブル末期の1989年には、東京株式市場の時価総額の合計は世界最大とされていました。その時の日本の時価総額上位企業は、NTTドコモ、トヨタ自動車、NTT、みずほフィナンシャルグループ(FG)、ソニーといったところでした(図2)。トヨタ自動車とみずほFGは第二の波の企業、NTTドコモ、NTTはITインフラを扱うため「第三の波」と「第二の波」の中間の企業、ソニーは「エレクトロニクス」を扱う「第三の波」の企業と分類できると思います。この時点での米国の上記企業を見ると、ゼネラル・エレクトリック(GE)、エクソン・モービル、ファイザー、シスコシステムズ、ウォルマートストアーズといった顔ぶれであり、シスコシステムズ以外は「第二の波」の企業と言ってよい状況でした。このように、この時点では日本は米国と同等の構成でした。しかし、それがこの失われた20年を含む30年後の現在で比較すると、全く変わってしまったことが分かります。現在の日本の上位企業を見てみると、トヨタ自動車、NTT、NTTドコモ、ソフトバンク、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)などです。あまり30年前と変化はなく、いぜんとして「第二の波」の企業に依存していることが分かります。それに対し米国の最近の顔ぶれを見てみると、前にも紹介したITのビッグ5とも呼ばれるアップル、アルファベット(グーグル)、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、フェイスブックの5社であり、すべてが「第三の波」の企業です。そして、株式市場の時価総額の合計額においても、米国とは3倍近い差がついてしまいました。成長力の源になるのは「第三の波」の企業です。トヨタ自動車の時価総額合計は、世界で40位程度に低迷していますが、「第三の波」の企業の時価総額は上昇を続けており、中国IT2強と呼ばれる「アリババ集団」と「騰訊控股(テンセント)」の時価総額は、すでにトヨタ自動車の2倍程度になっています。日本の「失われた20年」は「第三の波」に乗れなかったことが大きく影響していると思われます。


図2:世界企業の時価総額一覧(1989年)
講談社 現代ビジネスホームページより
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64433?page=2

 もちろん、この間何もしなかった企業はなく、「第三の波」に乗ろうとする試みは国内外で行われてきました。しかし、それは簡単なものではなく、失敗例も多くあります。米国ゼネラル・エレクトリック(GE)はもともと世界を代表する製造業であり、「第二の波」の企業のトップランナーでした。しかも、選択と集中を繰り返し、新陳代謝が旺盛な企業であり、金融や放送事業などへの組み換えも実現させてきました。そして、「第三の波」の技術である「IoT(Internet of Things)」にも積極的に投資し、航空機エンジンの遠隔診断などの新しいIoTを基盤とするサービスも生んでいます。しかし、そのGEでもITのビッグ5ほどの勢いはありません。まだまだ「第三の波」への踏み込みが甘いと思われているからです。「第三の波」の企業でもIT産業を代表する米国IBMでさえ、「クラウドシステム」市場への乗り換えがうまくいっておらず、「第三の波」からこぼれ落ちそうになっている状況です。クラウド事業でも好調なのはアマゾン・ドット・コムであり、シェアを着々と伸ばしています。国内企業もなかなか「第三の波」に乗り換えられない状況が続いています。かって東芝は「ノート・パソコン」において世界のトップランナーであり、「第三の波」の頂きにいた時期もありました。しかし、それも長くは続かず、現在ではパソコン事業は売却されてしまいました。ITの新事業を立ち上げるのは難しいのです。特に大企業にとっては、当初は大きな利益を生みにくく、失敗のリスクも高い新事業にはあまり積極的になれない事情があります。「第二の波」の成功体験もあります。そこで成長はあまり期待できないが、確実な利益を生む「第二の波」の事業に依存しがちになってしまうのです。しかし、勢いを失った「第二の波」の事業の売り上げは基本的に下降傾向に陥り、これを補うために安値構成をかけることとなり、そのことは体力をじわじわと奪い、最終的には検査工程をないがしろにするなどの不正行為に至るケースも出てくるのです。最近、過去の日本を代表するような優良企業が不祥事を多く起こしているが、それもある意味当然の流れと言えます。
 また、ITのビジネスは、一度始めてしまうと「ムーアの法則」に支配され性能が向上し続けるため、全力で走り続ける「トタン屋根の上の猫」になる覚悟が必要です。トタン屋根は熱くなりやすく、少しでも足を止めると猫は焦げてしまうのです。さらに、大衆を対象としたビジネスがメインであるため、大衆を引き付けるセンスや発想力も必要となってきます。日本人はまじめで規律を守り、モラルが高いが、逆に新しいものへの抵抗感が強い(保守的)とも言われています。これも新事業を立ち上げるには障害となります。見たこともないモノやアイデアに対し、否定的になるのではなくポジティブに接し、成果をあせらず、トライアンドエラーを繰り返していくことが大きなビジネスを発掘するには欠かせません。経営者も懐を深くし、松下幸之助の「やってみなはれ」の精神を持つことが必要なのです。このように「第三の波」への乗り換えはとても難しいが、変わらないことは最大のリスクです。すべての企業は「第三の波」の影響を受けており、それに対応して変わっていかないといけません。現在、日本を代表する「自動車産業」にしても情報化という「第三の波」の影響は間違いなく受けています。今、いかに「自動車」と「IT」を結び付けていくかが、重要な課題になっています(図3)。この「第三の波」への乗り換えが、うまくできなければ、日本は虎の子の自動車産業をも失うことになりかねません。


図3:トヨタ自動車のコネクテッドカー
トヨタ自動車ニュースレターより
https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/23157743.html

このように、トフラーが主張する「第二の波」と「第三の波」のぶつかりあいは、予想通り企業に様々な影響を与え、「IT」は「第三の波」を推し進める推進役として、大きな推進力を発揮しています。特にインターネットが普及した2000年以降は「IT」の力により「第三の波」が大きくなり、「第二の波」を飲み込む形になってきています。

 次に「情報体系」に対する「第三の波」の影響を考えたいと思います。トフラーは「第二の波」は人間の肉体的な力を拡大したが、「第三の波」は人間の精神(情報)の力を強化するとしています。そのことに貢献するのが、「第三の波」としての「IT」です。ITは実世界の「情報」の一部をディジタル化し、サイバー空間へ送り込むことにより、「情報」の検索を高速に行えるようにしたり、集めた「情報」をビッグデータとしていろいろに利用できるように強化しました。これにより、「第二の波」では行えなかったような「情報」利用を、「第三の波」の社会では行えるようになったのです。トフラーは「コンピューター(「IT」や「情報産業」)」は人間に知的情報に満ち溢れた社会を提供し、人間はそこからさらに深く思考することができるようになる、と指摘しました。この予測は見事に的中し、現在、我々はインターネットを使って様々な「情報」を簡単に得ることができるようになったのです。また、トフラーは「コンピューター(「IT」や「情報産業」)」は文明の因果関係をはっきりさせ、我々が物事の相関関係について理解を高めたり、身の回りの相互に無関係の「情報」を統合して、意味を持つ全体像にまとめる役割をするものと期待しているとも述べています。これについては現在「人工知能(AI)」が、かなりの部分を実現しています。人間では検出が難しかった別々の「情報」の因果関係、相関関係などを分析するのは「人工知能(AI)」の得意分野です。ビッグデータを解析し、その中から新たな因果関係、相関関係を見つけ出すことがトフラーの予想通り可能になっています。それらの因果関係を統合して新たな意味を持つ全体像にまとめる役割についても今後AIやビッグデータの進化により、解決されていくと思われます。囲碁や将棋で「人工知能(AI)」が新たな手を見つけ出したりできるようになってきているので、今後はより複雑な問題に対しても「人工知能(AI)」が新たな提案をしてくるようになると思われます。このように、「情報体系」に対する「第三の波」の影響は、「IT」の力によってすでに大きくなっており、「第二の波」の影より響力(郵便、電信・電話、マスメディアなどの影響)を上回っている状況にあります。トフラーの予測は驚くほど正確に当たっていると言えます。
 最後に社会体系、権力(政治)体系に対する「第三の波」の影響を考えたいと思います。トフラーは「第三の波」の社会・経済は、「シェア経済」、カスタマイズされた製品を大量生産製品と同じ程度の価格で提供する新しいビジネスモデル「マスカスタマイゼーション(mass customization)」、新しい社員の行動規範(「在宅勤務」、「兼業化」、「フレックスタイム」)、生産者が消費者にもなる「プロシューマー」の登場などを生むとしています。これらについては、本ブログ その17「ITが経済・ビジネスに与える影響」で詳細を説明したように、すでに現実のものとなっています。しかし、これらはまだ「第二の波」を越えるまでには至っておらず、まだしばらく「第二の波」と「第三の波」がぶつかりあい、せめぎ合うと思われます。中でもシェア経済や新しい社員の行動規範(働き方改革)については、関連するルールの見直しから行う必要があり、進めるためには時間がかかりそうです。シェア経済はライドシェアやルームシェアなど注目されるビジネスは多いですが、既得権を持つ業界をかかえており、そことの調整も必要になっています。
 トフラーは「第三の波」は国家や官僚組織に対しても攻撃を加えるとしています。組織の形態は、第二の波では中央集権型の一つを頂点とするピラミッド型の組織が効率的でしたが、「情報」が大量・高速に流通するようになり、より複雑な「ネットワーク構造」の組織になっていくと予想しています。問題を共有するさまざまな性質の組織を網の目状に整合させたような組織体系になるとしています。さらには、扱う問題が一国でクローズせず、もっと高い次元(地球レベル)で解決する組織が重要になると述べています。確かに、国境がないサイバー空間を利用したビジネスでは、これを取り締まったり、ルールを決めたりするには、一つの国レベルではコントロールすることはできず、多国間の協調によりコントロールするしかない状況になっています。また、「第三の波」の社会は、その波に乗れなかった人間を作りだし、中流を崩し格差社会も生むとされています。政府のこの格差社会という問題にも対応していかなければなりません。これらの権力体系については、「第三の波」の攻撃が増してきている状況であり、「第二の波」の権力は今、まさに対応を迫られているところです(図4)。


図4:菅政権の国会答弁の様子
東洋経済オンラインより
https://toyokeizai.net/articles/-/387965

 以上、「IT」が「第三の波」の推進役としてどのような影響を及ぼしているのかを検証してみました。その結果、特に2000年以降は「IT」を大きな推進力として「第三の波」のうねりが大きくなり、今「第二の波」とのせめぎ合いを繰り広げていることがわかります。そして、トフラーの予測の多くは、正しかったことも確認できました。まだ実現されていないこともありますが、それは時間的に実現が遅れているだけであり、今後実現される可能性が高いものだと思います。本当にトフラーの造詣の深さには感服させられます。
 「IT」の進化により、「情報」のコミュニケーション能力が飛躍的に高まり、人々は個性を大切にし、多様性を認め合う社会へと変わってきています。私の感覚としては、「第二の波」の勢いはすでに衰えており、「第三の波」の勢いが完全に上回っているように感じます。私たちはいよいよ本気でこの「第三の波」に乗っていかなければなりません。そのためには、トフラーが描いた「第三の波の社会」をよく理解し、備えるのもひとつの方法だと思います。

 

 

2021年11月22日